2015/08/02

primitive eyes


私の中学生の頃の夢は、「野生動物と生きながら作曲をして生きる事」だった。きっかけは、アフリカに住む獣医の女性が書いた随筆を読み、彼女が野生動物たちと交流しながら生活するさまに心底憧れたからだ。まあ単純といえば単純、いったい野生動物と生きながら曲を作る人物の仕事は何??と謎の多いものだが…当時の私の言いたい事はもの凄く良く理解できる上に、今でもその夢の根本は生き続けている。いや、むしろ近年ますますその根本が問い直されている、エッセンス満載の素敵な夢だ!我ながら。

さて、そんな事を思いながら最近前髪を切り過ぎた娘の髪型を見ていて思い出したのが、『奇跡の少女ティッピ』だ。前述したような夢を持つくらいの私、このティッピの事が昔から大好きだ。ヒョウ、シマウマ、象、ダチョウ、トカゲ、カエル…様々な野生動物とまるでディズニー映画の主人公のように話をし戯れあい、さらにサン族やヒンバ族とも親しく深く交流したフランス人の少女。彼女の両親が写真家というだけあって、ティッピと動物の写真は本当に儚く美しいものばかりだ。

幼い頃から野生動物に囲まれて育ったからといって、誰もが彼女の様になれた訳では無いのだろうと思う。様々な条件が重なってはじめて、ティッピと動物の友との夢の様な関わり合いが生まれたのだろうな。ティッピの生活は都会で生きる人々にとっては非現実的でロマンのある話題だったのだろうけれど、当のティッピにとってはただただ普通で幸せな事だったのだと思う。

私の娘は日本で普通に暮らしているが、当時のティッピと同じ様な目をしている。猫も犬もぬいぐるみもイラストも、 「目」や「口」のあるものはなんでも仲間だと思っている様だ。仲間というか同列というか・・・この平等な感覚は、得難い。これから社会の中でどんどんと区別されて行く感覚だ。一旦区別されて差別されていったものは、何十年もかけて智慧と経験で再びひとつにまとめていくしか無いが、今の娘くらいの年頃の子供の無邪気さは、世界中どこに生まれ育っていても、同じく「ある」ものなのだと思う。それは本来の生の平等を知らせてくれる、大人にしか気付けない大切な事だ。

初めは皆純粋だった。

それにしても、ティッピの鼻歌素敵ね。
  

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